この記事は約4分で読めます。
初めに
平成24年度の調査によると、65歳以上の高齢者の認知症患者数は462万人にものぼるとされ、高齢者の7人に1人は認知症とされている。この数値は、将来的には今よりも平均寿命の向上や高齢化が進むことが予測されるため、増えるとされている。このように、認知症は私たちの生活からは切っては切れない存在であるといえます。
こういうわけで、2020年1月11日(土)午後9時00分から放送されたNHKスぺシャルの「認知症の第一人者が認知症になった」を紹介させていただきます。
NHKスペシャルのURL

要約
認知症治療の第一人者
認知症医療の第一人者の長谷川和夫さん(90)についてのお話です。長谷川さんは日本で初めて、以前は痴呆症と呼ばれていた認知症の早期診断を可能にした。
彼は、今でも自分自身が認知症になることによって、さらに認知症とは何かということを伝えようとしている。つまり、現在彼は患者と医者ということなる二つの顔を持っている。そのため、認知症となった今でも各地で講演会を行っている。
認知症の人の心の声
長谷川さんは認知症の脳のメカニズムがどうなっているかはある程度理解しているが、認知症の人の心の声を聴くことができないといっている。しかし、彼の患者の中で、心の中を綴った患者がいる。
「僕にはメロディーがない和音がない共鳴がない。帰ってきてくれ僕の心よ。すべての思いの源よ。再び帰ってきてくれ。あの美しい心の高鳴りはもう永遠に与えられないのだろうか」
これは音楽家である患者の残した言葉である。
長谷川さんに関しても、認知症にかかったら今後どうしようもないという不安に襲われたという。症状が安定しない日などはうつのような状態になり、「死にたい」と思うようになったと言う。
また、生きているという「確かさ」が減ったと述べている。
認知症患者のいる家庭
長谷川さんの妻である瑞子さんは自身が要介護認定を受けているにもかかわらず、薬の管理や身の回りの世話など長谷川さんの介護をしている。それは大変なことかもしれない。一方で、子供のいた二人にとっては、この時こそが2人だけで過ごせる時間となっている。
長谷川さんも瑞子さんがいることを「僕の体や精神、心のすべてに瑞子がいてくれる」と日記に綴っている。
長谷川さんの娘も取り上げられており、彼女は認知症である父どう向き合えばよいかと話していた。彼女は認知症の人とどう向き合うべきなのかと認知症であることを受け入れることは難しいと感じているようだった。
医者としての顔と患者としての顔
彼は40年前医師であるとき、家族の負担を減らすためにデイケア・デイサービスを提唱していた。しかし、彼がデイケアに行って、笑顔はなかった。なぜなら、そこに彼の居場所はなかった。そして、自分で提唱したにもかかわらず、デイケアをやめた。
また、長谷川さんの講演会の中でもスケジュールになかったことを始めたり、講演会に関係のない話を始めたりする一面も見られた。
これらのことは、長谷川さんが先輩医師から言われた「君が認知症になって初めて君の研究は完成する」という言葉に集約されている。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この番組のまとめとして、長谷川さんに認知症になってからの景色はどうなのかという質問がされた。そして、長谷川さんは「認知症になってからも景色は変わらない」と答えた。
きっとこう答えることができたのは、長谷川さんの家族の支えがあるからだと思う。それがなければ、単調なモノクロの世界に感じるだろう。認知症治療で一番大切なのは家族の支えなのかもしれないと気付いた。